福島第1原発の処理水の件で
誤解を与える情報を流し、
必要以上に福島を悪者にしている
記事が目立ちます。
例えば、
韓国側からの主張ですが、
放出された汚染水(処理水)は
日本の海だけに
流れ込むものではなく、
沿岸地域住民や韓国国民にも
大きな被害をもたらすだろう
と言ってきています。
この文章だけを見たら、
海はつながっているのだから
福島から汚染水を垂れ流せば
世界中に迷惑がかかる
というよう感じますが、
今回、海洋放出を考えているのは
汚染水を直接流すのではなく、
処理した水を少しずつ海に流す
というものです。
ぜんぜん話が違っているわけですね。
福島第1原発の近くの
サブドレン(井戸)から
地下水を組み上げて
浄化後、基準値を下回ることを確認し
海洋に放出しようとしています。
浄化すれば安全なのか?
基準値より下回っていても
海に放射性物質を垂れ流すのは
よくないんじゃないか?
量の問題じゃないんだ!
という指摘もあります。
しかしですね。
今回放出予定の量で
世界中の海産物に大きな影響を与えるなら
すでにこの地球上の海は
どうにもならないレベルで
汚染されていることになります。
福島第1原発から大量に汚染水を
流すようなイメージを与えられていますが、
福島第1原発から排出される
放射性物質の量は
なんと、
韓国の原発から排出される量の
130分の1以下の量なんですね
韓国の原発のほうが130倍も多く
海に排出しているので、
日本海はトリチウムまみれということになり
むしろ太平洋側の福島のほうが
圧倒的に安全という話になります。
韓国は日本よりも多くの
トリチウム汚染水を垂れ流しているのに
日本がちょっと海に流すと行ったら
文句を言い出しているわけです。
これは韓国の言葉で
내가 하면 로맨스, 남이 하면 불륜
(自分がやったらロマンス 他人がやったら不倫)
というのがありますが、
まさにそれを言ってきてるわけです。
他人の過ちは大きく、
自身の過ちは小さく感じる
というダブルスタンダードの典型例です。
2016年のデータになりますが、
韓国の主要原発である月城原発では
液体放出したトリチウムの量は
約17兆ベクレルです。
(気体では119兆ベクレル)
同じ2016年の福島のサブドレンからの
トリチウム排出量は1300億ベクレル
単位を揃えれば、0.13兆ベクレルです。
なんと、130倍以上の差があります。
今回は近隣国なので韓国の話を出しましたが、
欧米はもっと酷いです。
2015年のデータになりますが
アメリカのキャラウェイ原発で42兆ベクレル
イギリスのヘイシャムB原発は390兆ベクレル
フランスのトリカスタン原発は54兆ベクレル
日本の1300億ベクレルが
問題なのかどうかを議論する以前に
世界ではこれだけ桁違いの量を海に垂れ流しています。
世界がやっているのだから
日本もやってもいいという
理屈にはならないまでも、
すでに桁違いの量が
海に垂れ流されているので、
仮に福島原発のサブドレン水を
このままタンクに貯めたままにしても
誤差にもならないレベル
ということになります。
1300億に対して、
世界では数十兆~数百兆ベクレルです。
フランスのラ・アーグ再処理施設にいたっては
年間1京3700兆ベクレルも垂れ流しているので
福島第一原発の10万倍以上となります。
こうなってきますと、
ヨーロッパの海と日本海は
どうにもならないレベルで
汚染されていることになりますね。
だから原発は危険だからやめよう
という議論ならまだいいのですが、
福島の原発ばかりを悪者にして
これだから日本は……
みたいな論調はいい加減やめるべきだと思います。
感情論だけで話をするのではなく、
科学的な議論をもっと行うべきです。
なんとなくの印象で
恐怖を煽るのはやめよう
今回の放出する処理水は
世界の原発と比べても排出量は少なく
かなり薄められた状態で長年かけて
少しずつ放出するものです。
このまま置き場がなくなってきている
福島の負担を考えると
浄化しつつ少しずつ放出するのは
仕方のないことではないでしょうか
世界のほうが酷いから
別にいいよというつもりはありません。
しかし、
必要以上に恐怖を煽るのは
また違う話だと思います。
そもそも原発がなくなったところで、
宇宙線などの影響でトリチウムは
年間7京ベクレルほど生成され、
雨となって地表に降り注ぎます。
自然発生する量と比較しても
今回の福島処理水の量は
圧倒的に少ないので、
問題ないのではないかなと思います。
重箱の隅をつついて
福島を貶めるのはやめましょうね。