説明と同意インフォームドコンセントが患者の不利益になっている問題

インフォームドコンセントというものは

元々は患者が病名や病気を知りたい場合は

本人が望めば知ることができる患者の権利

というものが根本にあったのですが、

日本の医療現場に導入されてからは、

とりあえず説明して本人の同意をとればOK

というものになってる部分があります。

 

ちょっと厳しい言い方をしましたが

もう少しキレイな言い方をすると

このようになります。

 

生体を傷つける検査や治療を

行う前に患者に対してリスクや

効果などを十分に説明をして

患者から「自主的」な同意を得る

ことが必要です。

 

患者には知る権利選択の権利があります。

自分にとってどのような方法で

治療をするのか?

それが本当はあまりおすすめの方法でなくても

本人が望む治療を受けることができる

という感じに言い直すこともできますが

さて、これを聞いて皆様はどう感じましたでしょうか

 

さらっと読むば、

それはそうだよ

ちゃんと説明を受けて、

もっともリスクの少ない方法で

治療したいよって思いますよね。

 

ただ、

このインフォームドコンセント

というのが患者にとって

利益になる話だけをされるのであれば

確かに問題はないんです。

 

ただ実際には

医師からの一方的な情報提供をされ

こちらから質問をし直せば答えてくれますが、

医師が意図的に隠している話を見抜いて

質問できるレベルの患者さんって

そんなにはいません。

 

基本的に医師というのは

『嘘」はつきません。

(勘違いや間違いはあります)

 

ただし、

本当に必要な情報も最初から

言ってくれるとは限りません。

 

こちらから根掘り葉掘り聞けば

最終的には嘘がつけない立場なので

すべて情報は揃いますが、

そこまで持っていくのがとても難しいです。

 

あんまり長々突っ込んでいると

機嫌悪くなってきて、

キレ始める医師もいますしね。

 

特に自分の成績や病院の利益のために

やりたい治療や検査があった場合なんて

めちゃくちゃ難航します。

 

あまりにこちらが

否定的な態度をとっていると

そんなに嫌なら他の病院行けば

と口に出さないまでも

やんわりとそういうことを言ってきます。

 

僕の母が入院したときは

やんわりどころか、

だったら母校の慶應にいけばいいのに

(慶應義塾大学病院)

なんでうちに来たの?

なんて言ってくるアホもいるくらいです。

 

そういった高圧的な態度をとられたときに

話す気力がなくなりますよね。

もうこの人になにをいっても無駄だ

って諦める気持ち半分、

はやく治療し始めないと

取り返しがつかなくなるかもという

焦りが半分になるため、

冷静な判断がつかなくなります。

 

インフォームドコンセントの別の問題

これまでの話とは

ちょっと違う話ですが、

インフォームドコンセントを

徹底すると薬を使いたく

なくなってくることがあります。

 

 

これはたとえ話になりますが、

効果はすごいけど

重い副作用で苦しむ確率がある薬と

気休め程度の効果だけど

副作用は少なめの薬があったときに

どちらの薬を選択しますか?

 

きちんと効果や副作用を

一通り説明すると

なるべく副作用がない薬を

選択したくなりませんか?

 

もちろん、

副作用なんて

ないにこしたことはありませんが

副作用がほとんどない薬を

選びたくなると思います。

 

説明の仕方しだいではありますが、

きちんと丁寧に説明したがために

本当は副作用があっても

こちらの薬を飲んだほうが

良いと医師が思っていても、

患者本人が怖いとおもって

気休め程度の薬だけど、

副作用がないものがいいと思い

ブログやYoutubeでも

その薬飲んで酷い副作用にやられたって

聞いたからいやだって

なることがあると思います。

 

これが実はなかなか厄介なんですね。

他人の体験談というのが

自分に当てはまるかはわかりません。

 

似たような病気であっても

年齢、性別、他の病気との兼ね合い

病気の重さが違うので、

参考にするのはいいのですが、

真に受けすぎてもしょうないんです。

 

しかし、

患者が下した決断は

たとえ、非合理的な方法であっても

尊重しなければいけないものなので

なかなか厳しいですね。

 

記事の最初のころは、

やらなくてもいい治療についての話ですが、

今回の話は本当はやらないといけない

治療についての話です。

 

説明しすぎたために

怖がらせてしまい、

結果的に無難な治療法を選んで

回復が難しくなるということもあります。

 

医師の中にもいろいろなタイプがいます。

生きてさえいればいいんだ

と思う人もいれば、

たとえ死んだとしても、

本人が望んだ方法にしてあげよう

という考え方を持つ人。

 

これはどちらが正しいではないので、

なかなか難しいですよね。

そんな難しい決断と葛藤を

常に抱えているのが医師というものです。

 

なので患者からすれば

間違った決断をされたように

感じることもあるでしょうが、

考え方の違いからなので、

合わないような医師を変えるしか

ないのと思いますね。

 

 

いろいろな話をしましたが、

説明をしないことも問題ですが、

しすぎることで恐怖を与える問題もあります。

 

命が助かるんだから

強引にでも推し進めるべきか

患者の人生なのだから

本人に自由な選択をさせるか

 

本当に難しい問題です。

 

インフォームドコンセントという

プロセスばかりに目を向けずに

患者としっかり対話ができる

コミュニケーション能力を

身につけていかないと、

素晴らしい理念というだけで

終わってしまうと思います。

 

やらなければいけない

面倒な作業にせずに

より患者に寄り添ったものに

なっていただけたらなと思います。