8月4日大阪府知事が
市販のうがい薬を使用することで、
コロナの感染予防になるのではと発言し
全国の薬局からイソジン等が完売して
大きな話題となりました。
大阪の吉村府知事は、
嘘みたいな本当の話と切り出し、
府立病院機構運営の
大阪はびき医療センター研究結果を
とてつもない新発見のように
伝えていますが、
この結果はそれはそうだろう
という研究報告で、
私達がこの内容を信じて
イソジンなどを使えば
コロナ予防になったり
重篤化にならずに済む
というわけではないと思います。
うがい薬を使用した研究内容とは?
どのような研究内容だったのか
簡単にご紹介しますと、
宿泊療養をしているコロナ患者40人を
1日に4回うがいするグループと
うがいをしないグループに分けて
4日間、唾液を検査したところ、
うがいをしないブループの陽性率は56.3%
うがいをしたグループの陽性率は21.0%
となりました。
うがい薬を使えば、
唾液に含まれるウイルスが減り、
陽性率が大幅に下がったという
研究報告なのですが、
この話を聞いて、
よし!
うがい薬をを使えば、
コロナ予防になるって考えてしまうのは
ちょっと飛躍し過ぎだと思います。
偽陰性が増える危険性
日本リスク学会が発表した
各種消毒薬のウイルス不活化によると
ポビドンヨード(イソジン等)を使用すると
15秒間でウイルスを10万分の1に減らす
と発表されています。
イソジンなどのうがい薬を使用すれば
喉に付着したウイルスや
唾液に含まれるウイルスを
大幅に減らすことはできるでしょう。
15秒間でウイルスを減らせるなら
イソジンでうがいをしたほうが
良いのではないかと思ってしまいますが
そんなに良いことばかりではないから
ずっと推奨されてこなかったわけです。
うがい薬を使えば
『見かけ上の数字』を
よく見せることができることは
研究者であれば誰でも知っていました。
しかし、
なぜ推奨しなかったのかといえば、
PCR検査をしたときに
唾液に含まれるコロナウイルスが減ることで
『本当は陽性なのに陰性』という結果が出てしまう
偽陰性が増えてしまい、
PCR検査結果の信憑性が元々低いのに
さら検査精度が低くなるため、
あまりおすすめできる方法ではないと思います。
他人への感染抑制効果はあるのか?
うがい薬を使用することで、
他人への感染を抑制できるのであれば、
使用を検討しても良いですが、
現時点(8月5日)で
感染抑制の実証はされていません!
この件に関して厚生労働省は
うがい薬が効果的という発表は
『時期尚早ではないか』
とコメントしています。
うがい薬を使うことで良い常在菌が減る
昨日の報道を聞いたことで
呼吸器や感染症の専門家から
否定的なコメントがたくさん出てきています。
特にイソジンなどのうがい薬を使用すると
口の中の良い常在菌まで
死滅させてしまい、
感染リスクが高まる可能性も指摘されています。
まとめ
イソジンなどに含まれる
ポビドンヨードが7%以上含まれている
うがい薬を使用すれば、
コロナウイルスを減らすことはできますが、
唾液を使用したPCR検査の結果が
偽陰性になりやすくなると懸念されます。
本当は陽性なのに陰性と出ることで
家族や友人、職場の人に感染させてしまい
クラスター発生に繋がる恐れがあるため、
注意が必要です。
うがいをするのであれば、
水だけでも十分に効果が期待できます。
私個人の見解としては、
うがい薬を使用するよりも
水だけの方が風邪予防になると思っています。
詳しくはこちらの記事を
この記事を書いているときに
吉村知事が新たなコメントを発表され
「誤解されてはいけないのは
うがいをすることで
コロナの予防ができるわけではない」
と言い出しました。
たった一日で真逆の意見を言うのも
どうかと思いますが、
ここで考えなければいけないのは
吉村知事が錯乱している
というわけではないと思う点です。
先日の記事にも書きましたが、
想像以上にパニックになっており
専門家と呼ばれる人たちの間でも
真逆の意見を言う人が
たくさんいるわけです。
さらに素人のとんでも理論も
拡散されているため、
何か精神を安定させるための1つとして
話題提供をした可能性がありますが、
吉村知事はとても注目度が高く
発言力がある政治家なので、
研究結果=真実というわけではない
ということを知っていただきたいと思います。
意外と有名大学の教授や
権威がある科学者でも
いい加減な発言をする人は
少なくありませんので注意が必要です。
(今回の研究報告が嘘といってるわけではありません)