新型コロナ治療最後の切り札『人工肺ECMO』とは

先日タレントの志村けんさんが

新型コロナウイルスに感染し、

重篤化したということで、

日本中に大きな衝撃を与えました。

 

今回の新型コロナは、

糖尿病、高血圧、呼吸器に持病がある人は

重症化しやすいという特徴があるので、

予断を許さない状況が続いていると思います。

 

志村けんさんは現在70歳と高齢な上に、

元々ヘビースモーカーで有名です。

お酒も大好きで酒豪として知られています。

 

そのため、

新型コロナウイルスによる肺炎だけではなく、

元々弱っていた部分と合わさって、

かなり危険な状態になっています。

 

現在は、ECMO(エクモ)という

人工心肺装置がある病院で治療をしています。

 

これまで23人がECMO治療を行い

12人が回復し、死亡者は0人ということもあり

新型コロナによる肺炎治療の

最後の切り札と呼ばれています。

 

ECMO治療をすれば、

回復するならみんなECMOで

治療すればいいのにと思われた方もいるでしょう

 

ECMOが新型コロナが流行してすぐに

あまり話題にならなかったのは、

ECMO治療の身体的負担と

取り扱いができる病院が少ないという

2つの問題があります。

 

 

まず、ECMOとは

どんな治療装置なのかについて

簡単に紹介致します。

 

 

人工心肺装置ECMO(エクモ)とは

ECMO(エクモ)とは

Extracorporeal Membrane Oxygenation

体外式膜型人工肺という機器の略語です。

 

患者の静脈から血液を外に吸引して、

人工肺で血液に酸素を送り、

二酸化炭素を除去した血液を

患者の戻す装置です。

 

自分の力では肺で酸素が取り込めない

患者のために用いられ、

自分の肺を休めて回復するまで

人口の肺が代わりに頑張ってくれます。

 

 

言葉にすると難しいですが、

イラストで見てみると

少しわかりやすいと思います。

(藤田医科大学より引用)

 

通常の治療法では亡くなってしまう場合や

このままでは仮に回復しても障害が残る

という場合に使われてきました。

 

どこのニュースサイトを見ても、

志村けんさんの治療にECMOが使われたことを

最後の切り札という表現をしていたり、

ECMOは最後の手段

最後という言葉をつけているのは、

これで駄目ならもう・・・という時に

使用される治療法なためです。

 

なので、自分自身が新型コロナに感染したら

志村けんさんと同じECMOで治療したいな

なんて軽く思ってはいけないものです。

 

ECMOは対症療法であり根治療法ではない

治療法にはいくつか種類があります。

1つは根治療法といって

病気を完全に治すための治療法

もう1つは対症療法です。

 

対症療法というのは、

自然治癒力を高めて

回復させるための治療法です。

 

今回のECMOというのは、

対症療法になりますので、

あくまで回復させるのは自分自身の力となります。

 

ECMOはウイルスを殺してくれませんので、

自分の力でウイルスに勝たなければいけないため、

高齢の場合はECMOがあれば大丈夫!

と楽観視することはできません。

 

 

ECMOは日本に1412台

日本全国の病院で

ECMOは1412台あります。

そのうち、待機状態にあるのが、

1255台です(2月時点)

 

1255台しか空いていないと

ネガティブに感じた方もいるかもしれませんが、

中国では400台程度で、

欧米では持っているところがほとんどありません。

 

世界的に見ると、

日本はECMOの設置が進んでいる方だと思います。

ただし、100台以上あるのは

東京と大阪だけです。

それ以外の地域では数十台あるかどうかです。

 

取り扱いが1桁の県もあります。

石川県9

福井県6

長野県9

徳島県5

高知県8

 

現在、日本での感染者数は

1463人です。

 

もし感染者すべての人が、

ECMO使いたい!!

芸能人だけ優遇するなみたいな

騒ぎを起こされると、

ECMOが全然足りなくなります。

 

呼吸器の病気というのは、

なにも新型コロナだけではありませんから、

他の病気で使用する人のことも考えると、

なるべくECMOは使わないようにしたいですね。

 

ただし、

現在、命の危険がある場合は、

ECMOを選択肢に入れるのはありだと思います。

 

 

ECMOの身体的負担

人口の肺を使って、

肺を休ませつつ治療するというのは

理にかなっているように見えますが、

その割に世界で普及していないのは

なにか裏があるのでは?

と感じる方もいるでしょう。

 

普及しない理由には

いくつかありますが、

その1つが扱いが難しいため、

医師がECMOを使いこなせないという

問題があります。

 

血液を外に出して、

また体に入れ直すことを常に行う場合、

血液が固まらないようにする薬を使います。

 

肺だけが問題の人ならいいのですが、

体の他にもいろいろな問題があり、

どこかで出血をしたら止まりにくくなるという

怖さがあります。

 

なにかしらの問題で

空気が入ってしまうという事故が起きた時に

血液を大量に失うかもしれません。

 

このようなリスクがあるため、

気軽に取り扱いができないという面があるでしょう。

これは表に出てくる比較的綺麗な理由です。

実際はもっとどす黒い言い分があるのですが、

読んでも気分を悪くするだけだと思うので割愛します。

 

今回知っておいてほしいのは、

世界ではあまり使われていないから、

あまり良い装置ではないんだ

ということではないんです。

 

ECMOは肺の病気だけであれば、

かなり効果は期待できるものです。

 

急性肺炎であっても、

約2週間以内の治療で終わることが多いです。

 

志村けんさんも順調に回復していただき、

「だいじょうぶだぁ」って

本人の口からまた聞きたいですね。